いよいよ5日間にわたる裁判の始まりです。
9:30までに裁判所に入れば良いのですが8:50分には裁判所に着いてしまい駐車場の車の中で待ちました。
9:10になったので裁判所へ入ることにしました。
裁判所の入口では昨日配布された入庁証明書を見せればすんなり入れます。
入口の警備員の方に入館証を颯爽と見せて入ろうとしたのですが入館証が裏返しだったようで警備員さんから「表側を見せてください」と冷静に突っ込まれ恥ずかしかったです。
エレベーターで指定された階に行くとエレベーターを降りてすぐに職員の方がおられ丁寧な口調で名前を確認された後に待合室へ案内頂きました。
待合室に行くと既に3人の方が机に座っていました。
机は部屋に楕円形になるように配置されお互いが向き合う形でした。
そして私の席に案内して頂き時間まで座って待ちました。
待っている間に他の裁判員の方も来られ全員が揃いました。
すると職員の方が「何かありましたら何でも言ってください」と緊張気味の我々に向かって優しく行ってくださいました。
時間になると先日の3人の裁判官の方も来られそれぞれの席に座りました。
裁判官の方々はそれぞれ裁判員の間に席が設けられており裁判員の間に均等に座られました。
そして簡単な挨拶と本日の予定を裁判長が説明しました。
各席にはバインダーに綴じられた資料にはタイムスケジュールも有り、そこには分単位での予定表も有りました。
その予定表が短くて2分だったり3分だったりする項目も有って「こんなにタイトなスケジュールなんだ」と驚きました。
説明が終わり簡単な雑談をしていると内線が鳴りいよいよ法廷へ行くことになりました。
裁判官の方々は黒い法衣を着はじめまいした。
法衣を着る姿は格好良く、ハリーポッターを想像してしまいました。
先日習った恰好良い入り方で法廷に入ると既に検察官2人、弁護士2人、被告人が揃っており厳粛な雰囲気を感じました。
私もいよいよこれから裁判だと思うと身が引き締まる思いがしました。
カテゴリー: 裁判員日記
-
裁判員1日目(1/3)
-
裁判員1日目(2/3)
まずは検察官、弁護人による冒頭陳述から始まりました。
通常の刑事事件では冒頭陳述は検察官のみの場合が多いそうなのですが、裁判員裁判の場合は弁護人も冒頭陳述をするそうです。
理由としては裁判の経験の無い裁判員が検察官の主張に一方的に取りこまれないように弁護人からも裁判の説明をするとのことでした。
この際に裁判に関する資料が検察官と弁護人から配布されます(法廷に入ってきたときには既に机の上に置いてありました)。
検察官と弁護人ともに2人居るうちの若い方がそれぞれ資料に基づいて説明をされました。
検察官の説明は分かりやすかったのですが、弁護人の方は資料の説明があちこちに飛ぶのでそれを探すのが大変でちょっと分かり辛い印象でした。
弁護人は2人居ましたが裁判中はほぼこの若い弁護人が主体となって弁護していました。
ただこの若い弁護人は先ほどの冒頭陳述でも感じたのですが弁護士としてはちょっと不安な所もありました。
その後、証人質問へと移っていったのですが、この若い弁護人は時間をあまり気にせずに自分のペースで進め決められた時間をオーバーすることがよく有りました。
これに対して裁判官から注意を受けても「そんなに怒らないでくださいよ」と言っていたのにはビックリしました。
また度重なる時間オーバーに年配の方の検察官からも「検察側は時間を見て必要に応じて質問を省略している。弁護側も考えて欲しい」と指摘されそれに裁判長が再度注意してもどこ吹く風な感じでした。
これが弁護人の作戦なのか?とも思いましたがその後のやり取り等を見ているとただ単に時間配分を特に考えていないように見えました。
このようなやり取りはテレビのニュースでは当然分からず、生の裁判を感じることが出来ました。
途中途中で休憩が挟まれ我々裁判員は一旦、控室へ裁判官と一緒に下がるのですが待合室では裁判長がしきりに時間通りに進んでいないことを謝っていました。
検察側と弁護側からあらかじめ時間の申請を受けてそれを元にタイムスケジュールを作成するらしいのですが、今回は弁護側が酷いと。。。
あまりの時間の超過に弁護人の質問の途中で裁判長から「時間を過ぎています」と注意を受けても「しょうがないですよ、前もってこうなりそうなことは言っておいたじゃないですか」と反論していました。
ようやくお昼になりお弁当の時間です。
お弁当は520円の割には美味しくボリュームの十分でした。
お茶は冷蔵庫に入っており控室にいる間は飲み放題ですがあまり飲んでいる人は居ませんでした。
ネットの情報では裁判員のためにお菓子もいっぱい用意されていると書いてあったのですが、私の場合は各裁判員の机の上に飴が2個あっただけでした。
(あってもあまり皆食べないから?)
昼ごはんはコロナ対策で2つの部屋に分かれて食べました。
他の裁判員の方とはなかなか話す機会が無かったのですがこの食事の時間は裁判官の方も含めてプライベートの話とかも出来ました。
裁判員の服装については8人の内、6人はラフな服装で私を含めた2人はスーツでした。
裁判員の選任後に裁判官からはラフな服装で良いとは言われていたのですが個人的には裁判という人の人生を左右する場にラフな格好は抵抗があったのでスーツにしました。
昼食後は休憩時間なのですが休憩時間を利用して裁判官の方から刑罰とは何か?や刑務所の紹介等が有り休憩時間はそのような時間に当てられました。 -
裁判員1日目(3/3)
初日は昼食後に自己紹介を行いました。
まずは裁判官の方から自己紹介を行い、そこで男性の裁判長が24年目、男性の裁判官が18年目、女性の裁判官が2年目とのことでした。
又、裁判官は転勤であちこち定期的に移動しているとのことでなかなか大変な仕事です。
各自の自己紹介の時には何と呼ばれたいかも机の上の大きなネームプレートに書いて自己紹介しました。
それまでは「裁判員2」というネームプレートだったのですが、それでは味気ないとのことで呼ばれたい名前をネームプレートに書きました。
この場限りの名前でも良い(例えばキャサリン等)とのことでしたが、裁判員のみんなが苗字(本当かどうかは不明ですが)を書いていました。
その後は裁判長もネームプレートに書かれた苗字を呼ぶようになり少し距離が縮まった気がしました。
お昼休憩が終わり午後からの審議が始まりました。
午後の証人尋問の際、初めて証人に質問しました。
裁判官、裁判員の席にはマイクが有り法廷中に声が響きます。
大変緊張しましたが無事質問を終えて不明な点がはっきりすると何だか裁判に参加しているという実感も大きくなりました。
裁判員は裁判長から順番に「質問は有りませんか?」と聞かれるのですが補助裁判員の方は質問が有れば裁判長に耳打ちしてそれを裁判長が質問するというスタイルです。
補助裁判員は正式な裁判員ではないため直接裁判には参加出来ないらしく、このようなスタイルとなっているそうです。
やはり午後が進行が遅れ気味となり休憩を取りやめたりして何とか予定の時間に収まりました。
ただ進行が遅れた場合には待っている証人の方は裁判の後の予定も狂うことになり可哀そうだと感じました。
裁判長から「大変だったでしょう、お疲れでしょう」としきりに労いの言葉を掛けて頂きました。
ただ16:40に裁判は終わり17:00には裁判所を出れたので普段の会社勤めでは考えられないくらいの早い時間に帰宅することが出来ました。 -
裁判員2日目(1/3)
2日目も初日と同じぐらいの時間に裁判所に着いたのでしばらく車の中で待ちました。
時間が無いとパニックになってあわててしまうのでどうしても時間に余裕を持った行動をしがちです。
裁判所の入り口では昨日の失敗を繰り返さないように入館証はしkっかりと裏表を確認して何事もなく入ることができました。
待合室に入ると既に2人の方が来ていました。
昨日、自己紹介もしたことから少し大きめの声で「おはようございます」と挨拶すると返してくれました。
しかし後から来られた方達は無言で入って来られたので、まだぎこちなく感じてしまいました。
しばらくすると裁判官の方々も待合室に入って来られていよいよ2日目が始まりました。
まずは全員で挨拶した後、裁判長から1人ずつに「疲れていませんか?」「昨日はどうでしたか?」と聞かれました。
私は疲れてはいないことと昨日は初めての経験であっという間に終わった感じがしたことを伝えました。
それから今日の予定の確認がありました。
予定は分単位で決められており、例えば検察官の冒頭陳述は10時15分~10時25分まで、弁護人の請求証拠調べは11時12分~11時15分までとタイムスケジュールが決まっていました。
その後、被告人への量刑を決める方法のレクチャーがありました。
裁判で有罪になった場合には被告人に対して懲役何年や執行猶予を付けるかどうか等の量刑をきめなければいけません。
裁判員裁判ではその量刑を決めるのが裁判官の方々と裁判員となります。
量刑の決定に際し色々な議論をした上で決まりますが(それを評議と言うそうです)、評議の中で意見が割れた場合には多数決で決めることになります。
その場合、ベテランの裁判官の方の1票と我々素人の裁判員の1票は同じ重さとなると聞き、思わずビビッてしまいました。
法律のプロである裁判官と法律の素人の裁判員で同じ重さの票になるとは・・・
しかしそんな法律素人の裁判員でも量刑の判断の目安となるシステムがあります。
それはこれまでの判決の検索システムです。
条件(犯罪の種類や被害の程度等)を入れて検索するとこれまでの判例が一覧で見ることができます。
これにより過去に同程度の犯罪ではどれくらいの量刑となっているかが分かり、判断の一つの目安とすることが出来ます。
一通り説明を受けたところで時間となり法廷へ向かいました。 -
裁判員2日目(2/3)
裁判2日目は被告本人への質問からでした。
裁判では事前に弁護人や検察官から配布されたA4の書類を元に進行されるのですが、2日目にして既に結構な量の書類となっていました。
この書類に大事だと思ったことや疑問に思ったことをメモしていくのですが、裁判の流れは早くメモを取るので精一杯となってしまいます。
そのため後で「あれはどこにメモしたっけ?」と大量の書類からメモを探すのも大変でした。
弁護人の被告人への質問では被告人の当時の心情や反省していますよね?といった趣旨の質問がなされました。
(時に弁護人から被告人に対して厳しく詰問する場面もありましたが、あれも弁護人のテクニックなんだろうなと思いました)
次に検察官からの被告人への質問に移りました。
検察官の被告人への質問は非常に厳しい口調で厳しく質問されていました。
「何でですか?」「何でですか?」と繰り返し質問され被告人もちょっとイライラしているようにも見えました。
私から見ても同じことを何度も質問してとてもしつこいなと感じました。
これはこれでさきほどの弁護人のテクニック同様に検察官のテクニックなんだと思います。
(もちろん弁護人も検察官も人によって違うんでしょうけど)
被告人質問の後には被告人の奥さんへの質問となりました。
弁護人の質問では奥さんは今回の事件があって子供たちからは離婚をすすめられたが離婚すると被告人が孤独になるため離婚はしないとの説明をしました。
又今回の事件で周囲からは奥さんも色々と罵倒されたりしたとのこと。
犯罪を犯すと自分だけでなく自分に近い周囲の人にも多大な迷惑を掛けてしまう・・・そんなことは犯罪を犯した後に気付いても取り返しがつかないんだなと痛感しました。 -
裁判員2日目(3/3)
続いて検察側の質問となりました。
検察官は被告人が家に帰ってくると近所の人たちが怖がるがどう考えているか?としきりに質問しました。
これに対し奥さんは「じゃあどうしろというんですかっ!?」と少し興奮気味に反論していました。
奥さんが反論したところで突然、奥さんが証言台に突っ伏してしまいました。
すぐに起き上がりましたが表情はしんどそうです。
裁判長も「大丈夫ですか?」と心配そうに何度も声を掛けました。
奥さんはしんどそうに朝から動悸がしていたことと心臓に病気が有ることを伝えていました。
今回の裁判という環境は被告人の奥さんにとっても大きなストレスだったことは間違いないと思います。
奥さんはそのまま医務室へ連れて行かれ、奥さんへの質問は中止となりました。
裁判ではこんなことも起こるのか・・・と感じる一方、改めて犯罪の周りへの影響について考えさせられました。
お昼になり昨日と同じ仕出し弁当を食べました。
ヒレカツ弁当で小さいながらも5切れ入っており柔らかく美味しかったです。
昼休みには朝に説明を受けた量刑の検索システムについて実際に検索して見せてくれました。
検索システムによると今回と同じような犯罪では最高が懲役22年、最低で執行猶予が4年付いた懲役2年半でした。
その犯罪によって人が亡くなっているかや何人亡くなっているかなどの条件によって懲役が変わっているのが良くわかります。
検索システムではその犯罪の内容もある程度記載してあり懲役20年のケースではその犯罪に加えて拳銃を撃ったこと等も加味されているようでした。
この検索システムは素人の裁判員でも参考にしやすく非常に便利だと感じました。
このような検索システムが産まれた背景として、裁判では日本のどこで受けても同じ刑罰にならなければいけない原則があるそうです。
確かにこの検索システムがあれば日本全国で共通の情報を共有でき、地域差による量刑の違いが発生しにくなと感じました。
一方でこれまでの判例に従い過ぎて民意に沿わない判決となる可能性もあるのかもと思いました(そうならないための裁判員制度ではあるのでしょうけど・・・)
又、裁判での重要なポイントとしては①有罪か、無罪か ②有罪なら懲役は何年か?の2点だそうです。