初日は昼食後に自己紹介を行いました。
まずは裁判官の方から自己紹介を行い、そこで男性の裁判長が24年目、男性の裁判官が18年目、女性の裁判官が2年目とのことでした。
又、裁判官は転勤であちこち定期的に移動しているとのことでなかなか大変な仕事です。
各自の自己紹介の時には何と呼ばれたいかも机の上の大きなネームプレートに書いて自己紹介しました。
それまでは「裁判員2」というネームプレートだったのですが、それでは味気ないとのことで呼ばれたい名前をネームプレートに書きました。
この場限りの名前でも良い(例えばキャサリン等)とのことでしたが、裁判員のみんなが苗字(本当かどうかは不明ですが)を書いていました。
その後は裁判長もネームプレートに書かれた苗字を呼ぶようになり少し距離が縮まった気がしました。
お昼休憩が終わり午後からの審議が始まりました。
午後の証人尋問の際、初めて証人に質問しました。
裁判官、裁判員の席にはマイクが有り法廷中に声が響きます。
大変緊張しましたが無事質問を終えて不明な点がはっきりすると何だか裁判に参加しているという実感も大きくなりました。
裁判員は裁判長から順番に「質問は有りませんか?」と聞かれるのですが補助裁判員の方は質問が有れば裁判長に耳打ちしてそれを裁判長が質問するというスタイルです。
補助裁判員は正式な裁判員ではないため直接裁判には参加出来ないらしく、このようなスタイルとなっているそうです。
やはり午後が進行が遅れ気味となり休憩を取りやめたりして何とか予定の時間に収まりました。
ただ進行が遅れた場合には待っている証人の方は裁判の後の予定も狂うことになり可哀そうだと感じました。
裁判長から「大変だったでしょう、お疲れでしょう」としきりに労いの言葉を掛けて頂きました。
ただ16:40に裁判は終わり17:00には裁判所を出れたので普段の会社勤めでは考えられないくらいの早い時間に帰宅することが出来ました。
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裁判員1日目(3/3)
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裁判員2日目(1/3)
2日目も初日と同じぐらいの時間に裁判所に着いたのでしばらく車の中で待ちました。
時間が無いとパニックになってあわててしまうのでどうしても時間に余裕を持った行動をしがちです。
裁判所の入り口では昨日の失敗を繰り返さないように入館証はしkっかりと裏表を確認して何事もなく入ることができました。
待合室に入ると既に2人の方が来ていました。
昨日、自己紹介もしたことから少し大きめの声で「おはようございます」と挨拶すると返してくれました。
しかし後から来られた方達は無言で入って来られたので、まだぎこちなく感じてしまいました。
しばらくすると裁判官の方々も待合室に入って来られていよいよ2日目が始まりました。
まずは全員で挨拶した後、裁判長から1人ずつに「疲れていませんか?」「昨日はどうでしたか?」と聞かれました。
私は疲れてはいないことと昨日は初めての経験であっという間に終わった感じがしたことを伝えました。
それから今日の予定の確認がありました。
予定は分単位で決められており、例えば検察官の冒頭陳述は10時15分~10時25分まで、弁護人の請求証拠調べは11時12分~11時15分までとタイムスケジュールが決まっていました。
その後、被告人への量刑を決める方法のレクチャーがありました。
裁判で有罪になった場合には被告人に対して懲役何年や執行猶予を付けるかどうか等の量刑をきめなければいけません。
裁判員裁判ではその量刑を決めるのが裁判官の方々と裁判員となります。
量刑の決定に際し色々な議論をした上で決まりますが(それを評議と言うそうです)、評議の中で意見が割れた場合には多数決で決めることになります。
その場合、ベテランの裁判官の方の1票と我々素人の裁判員の1票は同じ重さとなると聞き、思わずビビッてしまいました。
法律のプロである裁判官と法律の素人の裁判員で同じ重さの票になるとは・・・
しかしそんな法律素人の裁判員でも量刑の判断の目安となるシステムがあります。
それはこれまでの判決の検索システムです。
条件(犯罪の種類や被害の程度等)を入れて検索するとこれまでの判例が一覧で見ることができます。
これにより過去に同程度の犯罪ではどれくらいの量刑となっているかが分かり、判断の一つの目安とすることが出来ます。
一通り説明を受けたところで時間となり法廷へ向かいました。 -
裁判員2日目(2/3)
裁判2日目は被告本人への質問からでした。
裁判では事前に弁護人や検察官から配布されたA4の書類を元に進行されるのですが、2日目にして既に結構な量の書類となっていました。
この書類に大事だと思ったことや疑問に思ったことをメモしていくのですが、裁判の流れは早くメモを取るので精一杯となってしまいます。
そのため後で「あれはどこにメモしたっけ?」と大量の書類からメモを探すのも大変でした。
弁護人の被告人への質問では被告人の当時の心情や反省していますよね?といった趣旨の質問がなされました。
(時に弁護人から被告人に対して厳しく詰問する場面もありましたが、あれも弁護人のテクニックなんだろうなと思いました)
次に検察官からの被告人への質問に移りました。
検察官の被告人への質問は非常に厳しい口調で厳しく質問されていました。
「何でですか?」「何でですか?」と繰り返し質問され被告人もちょっとイライラしているようにも見えました。
私から見ても同じことを何度も質問してとてもしつこいなと感じました。
これはこれでさきほどの弁護人のテクニック同様に検察官のテクニックなんだと思います。
(もちろん弁護人も検察官も人によって違うんでしょうけど)
被告人質問の後には被告人の奥さんへの質問となりました。
弁護人の質問では奥さんは今回の事件があって子供たちからは離婚をすすめられたが離婚すると被告人が孤独になるため離婚はしないとの説明をしました。
又今回の事件で周囲からは奥さんも色々と罵倒されたりしたとのこと。
犯罪を犯すと自分だけでなく自分に近い周囲の人にも多大な迷惑を掛けてしまう・・・そんなことは犯罪を犯した後に気付いても取り返しがつかないんだなと痛感しました。 -
裁判員2日目(3/3)
続いて検察側の質問となりました。
検察官は被告人が家に帰ってくると近所の人たちが怖がるがどう考えているか?としきりに質問しました。
これに対し奥さんは「じゃあどうしろというんですかっ!?」と少し興奮気味に反論していました。
奥さんが反論したところで突然、奥さんが証言台に突っ伏してしまいました。
すぐに起き上がりましたが表情はしんどそうです。
裁判長も「大丈夫ですか?」と心配そうに何度も声を掛けました。
奥さんはしんどそうに朝から動悸がしていたことと心臓に病気が有ることを伝えていました。
今回の裁判という環境は被告人の奥さんにとっても大きなストレスだったことは間違いないと思います。
奥さんはそのまま医務室へ連れて行かれ、奥さんへの質問は中止となりました。
裁判ではこんなことも起こるのか・・・と感じる一方、改めて犯罪の周りへの影響について考えさせられました。
お昼になり昨日と同じ仕出し弁当を食べました。
ヒレカツ弁当で小さいながらも5切れ入っており柔らかく美味しかったです。
昼休みには朝に説明を受けた量刑の検索システムについて実際に検索して見せてくれました。
検索システムによると今回と同じような犯罪では最高が懲役22年、最低で執行猶予が4年付いた懲役2年半でした。
その犯罪によって人が亡くなっているかや何人亡くなっているかなどの条件によって懲役が変わっているのが良くわかります。
検索システムではその犯罪の内容もある程度記載してあり懲役20年のケースではその犯罪に加えて拳銃を撃ったこと等も加味されているようでした。
この検索システムは素人の裁判員でも参考にしやすく非常に便利だと感じました。
このような検索システムが産まれた背景として、裁判では日本のどこで受けても同じ刑罰にならなければいけない原則があるそうです。
確かにこの検索システムがあれば日本全国で共通の情報を共有でき、地域差による量刑の違いが発生しにくなと感じました。
一方でこれまでの判例に従い過ぎて民意に沿わない判決となる可能性もあるのかもと思いました(そうならないための裁判員制度ではあるのでしょうけど・・・)
又、裁判での重要なポイントとしては①有罪か、無罪か ②有罪なら懲役は何年か?の2点だそうです。 -
裁判員3日目(1/2)
2日続いた裁判でしたが昨日は祝日でお休みでした。そのため1日空いて今日から再開されます。
今回は祝日でお休みでしたが、社会人の方が裁判員をするには平日の1日でも空いて会社に出社できた方が便利かなと感じました。
一方でぶっ通しでやる方が効率が良いと考える人もいるでしょうから、裁判の長さ等も考慮して裁判員をやる前に選択出来れば良いと感じました。
裁判員をやることが決定した時点で、裁判員になる方はいくつかの裁判から選択できるようになったらもっと負担も少なく、時期も調整しやすいのかなと思いました。
朝の裁判開始前のミーティングでは裁判長から各裁判員へ「体調は悪くないですか?」「昨日の休みはゆっくり出来ましたか?」等の裁判員を労う質問から始まりました。
裁判員裁判では裁判員になられた方も大変ですが、素人の裁判員にわかりやすく法律を教えてさらに裁判員に細かい配慮までしてくださる裁判官の方々も相当大変だなと感じました。
その後、裁判長から本日の予定の説明が有りました。
これまでの裁判で証拠調べは終わったので、今日は検察から論告が行われ、、弁護人から弁論が行われるとのことです。
論告とは検察官が証拠に基づいて、被告人が有罪であることを宣言して求刑することと説明して下さりました。
その後に弁護人による弁論が行われて最終意見陳述を行う流れになっています。
論告の前に裁判官から執行猶予についての説明がありました。
執行猶予には2種類あり、保護観察有りと無しがあるそうです。
又、執行猶予が取り消される場合とは再度犯罪を犯した時で交通違反の罰金程度では執行猶予が取り消されることはないとのこと。
そうしていると裁判の時間になり法廷へ向かいました。 -
裁判員3日目(2/2)
まずは検察の論告です。
検察はA4の紙1枚にこれまでの要点をまとめ、非常に論理的に話しを進めて行きました。
最終的に検察が求めた刑は懲役5年でした。
次に弁護人の弁論となります。
こちらはA3の紙2枚にわたりびっしりと主張したいことが書いてありました。
弁論が終わり被告人による最終意見陳述となりました。
被告人からは今回の事件で多くの人に迷惑をかけたことや反省している旨を述べられていました。
これで一通りの審議は終了となり、この後は評議に移ります。
評議は裁判長を含む裁判官3人と裁判員6人、補充裁判員2人の計11人で会議室にて行い、我々としての被告人に対する最終判断を決めます。
評議が始まる前に裁判長から評議の内容は秘密にする(外部へ漏らさない)ように言われました。
又、それは評議の最終結論が全員一致の意見か多数決で決まったかも秘密にしなければいけないとのことでした。
意図としては評議の内容が外部に漏れることで、今後の評議で自由な意見交換が妨げられることを危惧してのものだそうです。
評議では検察官が主張している求刑と弁護人が主張している内容のどちらが妥当かということを話し合いました。
裁判長が上手に各裁判員から意見を聞き出し、裁判員からも色々な意見がでました。
それらを踏まえて被告人は有罪であることが我々の結論となりました。
この日はこれで終わり、次の日は具体的にどれくらいの刑が妥当かについて評議することになります。
これまで3日間裁判員を経験しましたが、この評議が一番疲れました。。。